YABOサタデー映画館―2017.11.4
『YABO』の由来は野望。
野望という強い意志を持って前向きに生きる人を取材し、その人の魅力や情報を発信するフリーペーパーです。
WEB版では毎週土曜日に「YABOサタデー映画館」を掲載。
作品をあらすじとともに野望や希望、理想にあふれる人物をYABO人としてピックアップします。
今週は下記の5作品をご紹介します。
『セントラル・インテリジェンス』
『ノクターナル・アニマルズ』
『マイティ・ソー バトルロイヤル』
『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』
『Ryuichi Sakamoto: CODA』
『セントラル・インテリジェンス』
YABO人:しがない中年会計士のカルヴィン(ケヴィン・ハート)
高校時代はスーパースターだったが、今では会社内の立ち位置は中途半端で、部下からのリスペクトもない。高校の同窓会が迫っていたが、かつての自分を知る仲間に今の姿が見せられず、参加を渋っている。そこに突然、高校時代にいじめられていたボブから20年ぶりに会いたいとの連絡が入る。しぶしぶ会いに行くと、目の前に現れたのは、おデブからマッチョな肉体へと変貌を遂げていたボブ(ドウェイン・ジョンソン)だった。しかもボブはCIAエージェントで、濡れ衣を着せられ組織から追われているのを助けてほしいと言う。何度もきっぱりと断るが、ずるずると引きずり込まれていく。
「ロック様」ことドウェイン・ジョンソンが2016年に世界で最も稼いだコメディアンのケヴィン・ハートを相棒に、得意のアクションをコメディタッチに繰り広げるエンタテインメント作品。しかし見どころはアクションだけではない。怖いものなんて何もないように見えるドウェイン・ジョンソン演じるボブが、実は未だに高校時代に受けたいじめに囚われているのは意外な設定だ。そしてもがいてもがいて、やっとそこから抜け出す様子は見る者の共感を呼ぶだろう。
『セントラル・インテリジェンス』
11月3日(祝・金)全国ロードショー
監督:ローソン・マーシャル・サーバー
出演:ドウェイン・ジョンソン、ケヴィン・ハート、エイミー・ライアン、アーロン・ポール、ジェイソン・ベイトマン
配給:インターフィルム/REGENTS 宣伝REGENTS
© 2016 Universal Pictures, Warner Bros. Entertainment Inc. and RatPac-Dune Entertainment LLC
公式サイト:http://central-intelligence.jp/
『ノクターナル・アニマルズ』
YABO人:スーザン(エイミー・アダムス)
アートギャラリーのオーナーで、夫とともに経済的には恵まれながらも、心は満たされない生活を送っていた。ある週末、20年前に離婚した元夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書いた小説「夜の獣たち(ノクターナル・アニマルズ)」が送られてくる。彼女に捧げられたその小説は暴力的で衝撃的な内容だった。才能のなさや精神的弱さを軽蔑していたはずの元夫の送ってきた小説の中に、それまで触れたことのない非凡な才能を読み取り、気がつけば再会を望むようになっていた。
『メッセージ』で未知の知的生命体との対話に挑む言語学者を表情豊かに演じたエイミー・アダムスが本作では一転して能面のような無表情で驚く。しかし、冷めた顔の下に元夫に対する好奇心や捨てたはずの愛への未練がうごめいているのが伝わってくる。さらに過去シーンでは愛に真っすぐな20代の主人公になり切った。天晴れ!エイミー・アダムス。
『ノクターナル・アニマルズ』
2017年11月3日TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督・脚本:トム・フォード
出演:エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン、アイラ・フィッシャー、アーミー・ハマー/ローラ・リニー、アンドレア・ライズブロー、マイケル・シーン
配給: ビターズ・エンド、パルコ
©Universal Pictures
公式サイト:http://www.nocturnalanimals.jp/
『マイティ・ソー バトルロイヤル』
YABO人:ソー(クリス・ヘムズワース)
アスガルドの王オーディン(アンソニー・ホプキンス)の息子。かつて乱暴だった時期に地球へ追放され、地球人の女性ジェーン・フォスターとの出会いを経て、改心。その後、アベンジャーズの一員として、地球のために戦う。武器はムジョルニアと呼ばれる究極のハンマー。地球の支配を目論んだ人工知能ウルトロンとアベンジャーズの戦いから2年が経過。故郷のアスガルドに戻っていたが、義弟ロキ(トム・ヒドルストン)の手で地球へ追放された父・オーディンを捜すため、ニューヨークに降り立つ。ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)の導きでオーディンと再会を果たすが、オーディンから“世界の終わり”近づいていることを告げられる。そこに現れた死を司る女神・ヘラ(ケイト・ブランシェット)にムジョルニアを破壊され、ヘラの圧倒的な力を前に何もできないままロキとともに宇宙の辺境へと弾き飛ばされる。流れ着いた辺境の惑星サカールで、エキセントリックな独裁者・グランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)によって囚われの身となり、グランドマスターが主催する格闘大会に出場することになってしまう。しかも、対戦相手は、アベンジャーズの盟友・ハルクだった。
圧倒的な強さを持ち、怖いもの知らずのソーが本作では苦戦を強いられる。それは相棒ともいえるムジョルニアを失ってしまったから。しかし、仲間や反目してきた義弟・ロキと協力することで1つ1つ乗り越えていく。本当の強さとは何か。身をもって学んだソーが選択したラストは苦難が待っていると思われるが、ソーなら乗り越えていけるだろう。
注目すべきは敵キャラのヘラを演じたケイト・ブランシェット。強烈なヒールっぷりを美魔女のような美しさとともに披露している。
『マイティ・ソー バトルロイヤル』
11月3日(金・祝)全国ロードショー
監督:タイカ・ワイティティ
出演:クリス・ヘムズワース、トム・ヒドルストン、ケイト・ブランシェット、アンソニー・ホプキンス
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© Marvel Studios 2017
公式サイト: http://marvel.disney.co.jp/movie/thor-br.html
『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』
YABO人:佐々木充(二宮和也)
すべての味を記憶し再現することのできる、絶対味覚“麒麟の舌”の持ち主で、依頼人の「人生最後に食べたい料理」を再現して高額の報酬を得ている。幼少時に両親を亡くし、同じ境遇の柳沢健(綾野剛)とともに施設で育ち、自らの才能を頼りに起業した。しかし料理にこだわりすぎて経営に失敗。多額の借金を抱え込み、いまや料理への情熱も失いつつあった。そんなとき、中国料理界の重鎮・楊 晴明(よう せいめい)から巨額の依頼が舞い込んでくる。太平洋戦争開戦直前の満洲国で日本人料理人・山形直太朗が考案したという、伝説のフルコース[大日本帝国食菜全席]のレシピの再現だった。YABO人:山形直太朗(西島秀俊)
天皇の料理番で、一度食べた味を記憶し再現できる、絶対味覚“麒麟の舌”を持つ。国命を受けて、究極の日本料理フルコース[大日本帝国食菜全席]のメニュー開発のため、妻・千鶴(※宮崎あおい)とともに満洲国に移住。満洲人の楊晴明(兼松若人)と、日本人青年の鎌田正太郎(西畑大吾)を助手にして、メニュー開発に没頭していく。そんなとき、ハルビン関東軍司令部の陸軍大佐・三宅太蔵(竹野内豊)から、満洲国への天皇行幸が決定したという知らせを受ける。その晩餐会で、大日本帝国食菜全席をお披露目するという。しかし晩餐会には戦争へと傾倒する日本軍部が画策した、巨大な陰謀が渦巻いていることを知り、ある行動に出る。
普段は料理をしない二宮和也が「料理は言い訳ができないもの」として練習を重ね、左利きでありながら右手で包丁を持って天才料理人を体現。次々に完璧な料理を作って見せる。そのプロ意識に脱帽した。一方の西島秀俊はコックコート姿での立ち居振る舞いが似合う。ファンには垂涎モノかもしれない。
大日本帝国食菜全席112レシピは服部栄養専門学校の精鋭たちによって作り上げられた。フォアグラのソテーがグレープフルーツをくりぬいた器に盛られた「グレープフルーツとフォアグラのミラージュ」。フォアグラのまったりと豊潤な味わいにグレープフルーツの酸味を加えればまちがいはない。餅入りのロールキャベツをかつお出汁で煮たものはすぐに自宅で作ってみた。和と洋の絶妙な組み合わせにリピート決定。料理好きも満足できる作品に仕上がった。
『ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~』
2017年11月3日全国東宝系にてロードショー
監督:滝田洋二郎
出演:二宮和也 西島秀俊 綾野 剛/※宮崎あおい
西畑大吾 兼松若人 竹嶋康成 広澤 草 グレッグ・デール ボブ・ワーリー 大地康雄
竹野内豊/伊川東吾 笈田ヨシ
※宮崎あおいさんの「崎」は正しい文字が環境により表示できないため、「崎」を代用文字としています。
配給:東宝
©2017 映画「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」製作委員会
©2014 田中経一/幻冬舎
公式サイト: http://www.last-recipe.jp/
第30回東京国際映画祭 特別招待作品
『Ryuichi Sakamoto: CODA』
YABO人:スティーブン・ノムラ・シブル監督
震災以降の坂本の音楽表現の変化に興味をもち、2012年から5年間という長期間に渡って密着取材した。NYの自宅スタジオなどで行われたアルバム制作の様子、雨の音、北極圏の氷の溶ける音などの環境音を収集する姿を追う。また、YMO時代のライブ映像や、『戦場のメリークリスマス』 『ラストエンペラー』などの映画音楽制作中の貴重なエピソード、2014年の闘病生活までのすべてをカメラに収める。さらに、90年代から社会問題・環境問題へ意識を向けるようになったことによる、坂本の音楽表現の変化もインタビューと共に綴る。過去の旅路を振り返りながら、新たな楽曲が誕生するまでの、坂本龍一の音楽と思索の旅を捉えた。本作が劇場版映画初監督となる。
坂本龍一は作品の冒頭、震災で津波をかぶったピアノを死体のようと表現する。しかし、調律されたピアノの音は人工的であり、被災したピアノは自然の調律を受けたと考え方が変わっていく。かつてイエロー・マジック・オーケストラの一員としてテクノポップと呼ばれるジャンルを日本で確立した坂本龍一が自然の音を求めるようになっていくことに驚いた。過去に留まらない坂本龍一の新しい音楽が楽しみだ。
なお坂本龍一は第30回東京国際映画祭でSAMURAI(サムライ)賞を受賞し、本作は特別招待作品部門にて上映された。
<CODA>とは
一つの楽曲や各楽章の終わりに、終結の効果を強めるためにつけ加える音楽用語。特性として、変調やキーの変化を示すことが多い。
『Ryuichi Sakamoto: CODA』
11月4日(土) 角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
監督:スティーブン・ノムラ・シブル
出演:坂本龍一
配給:KADOKAWA
©2017 SKMTDOC, LLC
公式サイト: http://ryuichisakamoto-coda.com/