YABOライターイチオシ映画!『関ケ原』8月26日(土)公開
万民の幸せを願い、真っすぐに突き進む岡田“三成”
【あらすじ】
石田三成(岡田准一)は幼い頃、その賢さを豊臣秀吉(滝藤賢一)に認められ、小姓となった。成長し大名に取り立てられると、猛将として名を馳せた牢人・島左近(平岳大)を石高の半分をもって家来に乞う。右近は正義で世の中を変えようとする三成に意気を感じ、配下に入った。伊賀の忍び・初芽(有村架純)も三成に命を救われ、仕えるようになる。一方、天下取りの野望を抱く徳川家康(役所広司)は秀吉の不興を買う小早川秀秋(東出昌大)や秀吉恩顧の武将たちを言葉巧みに懐柔していく。そんな家康を三成は快く思っていなかった。やがて秀吉、大老・前田利家(西岡德馬)が相次いで亡くなり、三成と家康は覇権をかけて動き出していく。
【みどころ】
石田三成は冷静沈着で計算高い男として描かれることが多い。しかし、『関ケ原』の映画化を25年間も熱望してきた原田監督は“純粋すぎる武将”として描いた。例えば、落とした杖を家康が拾ってくれたときに礼をいうどころか無視をする。これを聞いた左近が大人の対応をするよう諭すと、家康が嫌いだとそっぽを向く。まるで子どもだが、それを岡田准一が演じると少年のような真っすぐさがにじみ出る。そんな三成も大切な人に対する思いは深い。合戦の最中、なかなか出陣しない小早川秀秋のもとへ使いに行く左近の息子には、「父親に会ってから行け」と言う。
一方、徳川家康は三成に不満を持つ者の愚痴に耳を傾け、労いの言葉をかける。しかし彼らのことを本気で心配しているわけではない。加藤清正らに命を狙われ、あえて家康のもとに逃げ込んだ三成を自分の状況を鑑みて助けた。タヌキ親父の印象そのものだが、役所広司が演じると冷静な大人の判断に見える。家康は自分の身に危険が及べば、そばに使える女性さえ盾にして身を守り、忍びに出たまま戻らない初芽の消息を最後まで気にかける三成とは大きく違う。原田監督は家康との対比で三成の純粋さを際立たせる。
三成は「大一大万大吉」という言葉を掲げ、義によって世を正し、万民が幸せな生活が送れることを心の底から願った。戦場では自らも前線に赴き、弓を弾く。関ヶ原の戦いの結果はわかっているものの、この作品に描かれている三成なら、応援したくなるに違いない。
『関ヶ原』
8月26日(土) 全国ロードショー
監督・脚本:原田眞人
出演:岡田准一、有村架純、平岳大、東出昌大/役所広司
配給:東宝=アスミック・エース
©2017「関ヶ原」製作委員会
公式サイト:http://wwwsp.sekigahara-movie.com/
<文:堀木三紀>