YABOライターイチオシ映画!『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』6月10日公開!
時効犯?曾根崎の不敵な笑みに隠された涙の意味
【あらすじ】
1995年、連続殺人事件が起こった。刑事の牧村(伊藤英明)は犯人を追い詰めたものの、あと一歩のところで取り逃がしてしまう。犯人は次の標的を牧村に定めたが、命を落としたのは先輩刑事だった。それを最後に事件は起こらなくなり、牧村たちの努力も虚しく事件発生から15年が経ち、時効を迎えるに至った。
時効から7年後、犯人を名乗る曾根崎(藤原竜也)が事件の詳細を記した告白本を出版。派手なパフォーマンスで世間を煽る。ジャーナリストとしてこの事件を追っていた仙堂(仲村トオル)は自分がキャスターを務める報道番組に曾根崎と牧村を呼ぶ。時効により法では裁けない罪を番組で裁こうとするが、そこで新たな事実が発覚する。
【みどころ】
時効を迎えた事件の犯人を被害者遺族から守る。逮捕直前で取り逃がした刑事にとって、それはどんなにつらいことだろう。この映画は韓国映画『殺人の告白』のリメイクだが、日本の状況に合わせ、時効廃止を盛り込んでストーリーを展開。この事件の時効成立の翌日に時効廃止が成立するように、事件発生を1995年に設定している。これにより、遺族の悲しみに悔しさが加わり、犯人への憎悪がより鮮明になった。脚本には監督も加わり、警察、法律、犯罪心理、報道番組監修の専門家に話を聞き、2年かけて作り上げたという。
見どころは仙堂の報道番組シーン。新たな事実が判明した途端、牧村と曾根崎の駆け引きが全て反転する。曾根崎の不敵な笑みの奥から悲痛な叫び声が聞こえてくる。フラッシュバックされるカットに曾根崎のセリフや表情に違う意味があったことを知り、思わず最初から見返したくなる。
撮影の際、1995年パートは16ミリ、犯人が撮影した事件映像はHi8と撮影機材を使い分ける。事件当時はHi8などのホームビデオが普及し始めたとき。夜の屋上での事件撮影には撮影用の照明は使用せず、Hi8が必要とする光源を計算してランタンを置き、映画にリアリティを追求した。昔を知るベテランスタッフがいたからできたという。機材技術の歴史ドキュメンタリー的な要素もある。機材の違いは見た目の質感だけでなく、スクリーンサイズにも現れるので注目したい。
(文:堀木三紀)
『22年目の告白 ―私が殺人犯です―』
2017年6月10日(土)全国ロードショー
監督: 入江悠
脚本:平田研也、入江悠
出演:藤原竜也、伊藤英明、夏帆、野村周平、石橋杏奈、竜星涼、早乙女太一、平田満、岩松了、岩城滉一、仲村トオル
配給: ワーナー・ブラザーズ映画
©2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会
公式サイト: http://wwws.warnerbros.co.jp/22-kokuhaku/