YABOライターイチオシ映画!『LOGAN/ローガン』6/1より上映開始!
守るべき存在がローガンに生きる希望をもたらす
【あらすじ】
近未来のメキシコ国境付近。ウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)は長年の激闘で心身ともに疲れ果て、治癒能力が衰えつつある。突然変異によって超人的な能力を得たミュータントたちは、今やほぼ絶滅していた。かろうじて生き延びたウルヴァリンも、かつての名前であるローガンを名乗りながら、別の能力を持つミュータントのチャールズ(パトリック・スチュワート)、キャリバン(スティーヴン・マーチャント)と肩を寄せ合って郊外の廃工場で暮らしている。チャールズは歳を取り、認知症によりテレパシー能力がコントロールできなくなっていた。そこにミュータントの研究施設で殺される寸前に逃げ出した少女ローラ(ダフネ・キーン)が現れる。彼女もローガンと同じく超人的な戦闘能力と治癒能力を持っていた。図らずもローラを助けたローガンはチャールズとともに、ローラの仲間のいるノースダコダに向かう。それは命懸けの闘いに身を投じていくことだった。
【みどころ】
ウルヴァリンはマーベル・コミックの映画『X-MEN』シリーズでも、特に人気のあるキャラクター。鋭い感覚と身体能力、どんな傷でも回復する治癒能力を持ち、体に埋め込まれたアダマンチウム合金の爪であらゆるものを切り裂く。今作は同じ能力を持つ少女ローラが登場。華奢な体で細やかに動き回り、次々と敵を倒していく。たくましい肉体を持つウルヴァリンの重厚感に対し、ローラはスピードと鋭さが持ち味といえる。 2人のアクションを見比べるのもおもしろい。
ヒューマンドラマの側面も強く打ち出している。どんなに能力が高い人にも老後は来る。認知症の親が徘徊して困っている話をよく聞くが、チャールズがテレパシー能力を暴走させるのも本人の意識外という点では徘徊と同じだ。アメコミのヒーローの姿を借りて、私たちの現実の苦労と苦悩を描いている。また、他人を寄せつけない孤高のヒーローだったウルヴァリンが誰かを大事に思う気持ちを知り、安らぎを見出していった変化も興味深い。チャールズを介護し、ローラの命を守っているうちに愛情が芽生え、人間としてローガンに生きる意義と活力を与えたのだ。愛する人がいて、そこに自分の居場所がある。そんな普通の人生が実はいちばん幸せなのだと作品は伝えている。
(文:堀木三紀)
『LOGAN/ローガン』
2017年6月1日(木) 全国ロードショー
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、ダフネ・キーン
配給:20世紀フォックス
©2017Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/