『マンチェスター・バイ・ザ・シー』トークイベントレポート

第 89 回アカデミー賞®で主演男優賞(ケイシー・アフレック)・脚本賞(ケネス・ロナーガン)を受賞した『マンチェスター・バイ・ザ・シー』。
日本最速試写が4月24日(月)に行われ、ゲストに女優の板谷由夏さん、映画コメンテーターの有村昆さんをお招きしてトークイベントが実施されました。
アカデミー賞予想の番組で共演し、本作を大絶賛していた2人が本作の魅力をたっぷりと語りました。

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』トークイベント

© 2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.

アカデミー賞予想では、『ラ・ラ・ランド』よりも『マンチェスター・バイ・ザ・シー』に一票!

板谷さん:『ラ・ラ・ランド』熱もあったのですが、私は応援団の1人として『マンチェスター・バイ・ザ・シー』は作品賞・主演男優賞・助演女優賞に一票入れました! 主演男優賞をとった際のスピーチで、お兄さんのベン・アフレックとプロデューサーであるマット・デイモンへの感謝を言うときに涙ぐんでいたんですよね。もうあれを見るだけで…涙を誘いましたね。
有村さん:これは男の再生物語ですが、僕的には、これはケイシー・アフレック自身の再生の物語だなと思いました。彼自身ハリウッド界で不遇な時期もありつつ、それでもお兄さんや周りのサポートもあって再生できた。これはまさに、ミッキー・ロークの『レスラー』であり、ナタリー・ポートマンの『ブラック・スワン』のようであるなと感じました。まさに彼のためにある作品だと思いました!

人の心のヒダに寄り添う、ケネス・ロナーガンによる脚本の素晴らしさ!

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』トークイベント

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板谷さん:最近観た映画のなかで、ここまで人の心のヒダに寄り添った映画は、監督の才能と脚本の素晴らしさありき。素晴らしいと思いました!この脚本を読んだ役者たちは、きっと心が震えたはず!
有村さん:現実時間のなかで、ふと回想劇が入るシーンがあるのですが、まさに僕らの日常生活である回想と同じ。その時間軸の切り取り方がすごいなと思いました!

演じるのでなく、“そこに生きている”と思わせる役者陣の抜群の存在感

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』トークイベント

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板谷さん:この映画は、私たちが映画のどのシーンにもふっと入り込める感覚になりました。過度にドラマチックにせず、普通の人々がこの地に暮らしながら、それぞれが心に傷を抱えながらも寄り添っている。映画の中で役者たちは、みんな登場人物として生きているなと思えました。それが、良い芝居と言われるのではないでしょうか。
有村さん:つまりは、そこにいる、実在しているという事なんですよね。そういう意味では甥っ子のルーカス・ヘッジズも素晴らしかった。またケイシー・アフレックと同様に、ミシェル・ウィリアムズ演じる役の持つ喪失感というのが、彼女のバックボーンに重なるものを感じた。ある意味で宛書のように、彼女にこの役を演じさせたいという思いがあったと思う。去年のオスカーではレオナルド・ディカプリオが『レヴェナント』であれだけすごい役作りで過酷な環境のなか望んだり、ほかにもクリスチャン・ベールがデ・ニーロアプローチをしたりしていますが、この映画に関しては一切体重の増減などの役作りをしていませんよね。見た目で勝負をしない、中身で役作りをしているなと思いました。

ゆるやかでささやかな希望を感じる映画

板谷さん:この映画の魅力は、大変なことがありながらも、所々にユーモアもあるところ。監督のインタビューでも「絶対に人生にはユーモアが必要」と語っていました。まさに人生もそうで、すごく大変な毎日でもユーモアは必要ですよね。主人公の彼らはとても悲しい思いをしたけども、悲しいことだけじゃ終わらない、人生は続いていくと映画は伝えていると思いました。淡々と続く人生の中にもかすかな光はあるんだなと。この映画のラストには、ゆるやかな優しい希望を感じ、私たちの人生にもささやかな幸せがあることを感じさせてくれました。
有村さん:この映画は観た後に誰かと語りたくなる映画。映画にある隙間を、観ている我々が埋める作業をするような映画ですね。今後の人生はあなたたちです、そう監督に宿題を出されたようなメッセージを感じました。

イベント終了後のアンケート調査では、満足度95%の高評価を獲得!
「今年観たなかで一番 の映画!」「素晴らしいエンディング!」「心にゆっくりと語りかけてくれるような映画」と絶賛の感想があがり、感動の波が広がっています。

【イベント概要】
日時:4月 24 日(月) *トークイベント 20:50~21:20(18:30 の上映終了後)
場所:ユーロライブ (渋谷区円山町1−5 2F)
登壇者:板谷由夏さん(女優)×有村昆さん(映画コメンテーター)

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
ボストン郊外で便利屋として生計を立てている主人公リーが、兄の死をきっかけに故郷“マンチェスター・バイ・ザ・シ ー”へと戻り、16歳の甥パトリックの面倒を見ながら過去の悲劇と向き合っていく―。リーの絶望と再生を、時折ユーモアを交え ながら丁寧に紡ぎ出した珠玉の人間ドラマ。
第74回ゴールデン・グローブ賞主演男優賞受賞、第88回ナショナル・ボ ード・オブ・レビュー主要賞4賞受賞、第70回英国アカデミー賞主演男優賞、オリジナル脚本賞受賞、第82回ニューヨーク批評家 協会賞主演男優賞、助演女優賞、脚本賞受賞…そして、アカデミー賞主演男優賞、脚本賞を受賞!と、世界中で227部門にノミネート、107部門受賞という快挙を成し遂げている注目作。

5月13日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、 YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国ロードショー!
監督・脚本:ケネス・ロナーガン
出演:ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ、カーラ・ヘイワード
© 2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.
配給:ビターズ・エンド/パルコ
公式サイト:http://manchesterbythesea.jp/

『マンチェスター・バイ・ザ・シー』トークイベント

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2017-05-01 | Posted in NEWSComments Closed 
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