映画『ONLY SILVER FISH』より皆本麻帆さんインタビュー
舞台『戦国BASARA』シリーズや『煉獄に笑う』の演出家 西田大輔が送る極上のサスペンスミステリー映画『ONLY SILVER FISH – WATER TANK OF MARY’S ROOM』が11月24日より池袋 シネ・リーブルほかで順次公開される。とある洋館に集められたのは、名前も素性もわからない謎に包まれた男女たち。本作で、ネックレスの女 ユキを演じた皆本麻帆さんにお話をうかがいました！
（皆本麻帆さん）
― 複雑で難解なサスペンスミステリーですが、台本を読んですぐに理解できましたか？
皆本 難しくて、全然、理解できなかったです！台本を一回読んだだけではわからなくて、前に戻りながら読み進めたり、最初に戻ったりして、何度も読み返しました。
― 最終的に、理解してから撮影に挑まれましたか？
皆本 理解したつもりで演じていたのですが、西田監督が「あまり頭で考えすぎないで」とおっしゃったので、そこまでは追求せずに演じようという感じでした。
― 舞台の時の西田監督と映画の時の西田監督、何か違うところはありましたか？ 撮影現場はいかがでしたか？
皆本 うーん…一緒だと思います。今回『ONLY SILVER FISH』の舞台と映画の連動企画で、初めて西田監督とご一緒させていただきました。私自身もこういう映画に出演したのも初めてでしたし、映画の撮影現場をあまり経験したことがなくて、初めてのことだらけで。すごくいっぱいいっぱいで、自分のやることを精一杯、一生懸命にやることしかできなかったです。
© 2018「ONLY SILVER FISH」製作委員会
― 演技指導や演技のリクエストはありましたか？
皆本 「こういうふうにして」とか「こういうふうに演じて」というのは、私たち役者にはなかったですね。「好きに、自由にやってください」という感じで。
― ご自身の思うように演じられましたか？
皆本 はい。それをカメラマンさんやスタッフの皆さんが、うまくつなげてくださって、舞台でお芝居をしているのと変わらなかったというか、そのままのお芝居を撮っていただけました。映像って、最後の方のシーンを撮った後に最初の方のシーンを撮ったり、物語の流れ通りじゃなくて飛び飛びで撮ったりするのかなってイメージしていたのですが、あまりそういうこともなく、気持ちの流れが自然にいくように撮っていただけたので、映画初心者としてはすごくありがたかったです。
― 「感情が途切れない」というのは大きいですよね。
皆本 気持ちの流れのままにお芝居ができたのは、本当にありがたかったです。
© 2018「ONLY SILVER FISH」製作委員会
― ユキを演じるにあたって工夫したことを教えてください。
皆本 ユキは自分から何かを発信していくようなタイプではなかったので、その場にいて、その空間と、みんなの空気やその瞬間をすごく感じるようにしていました。監督が「スタート！」と言った瞬間のみんなの様子を全部見て、全部キャッチしようという気持ちで、その場にいました。
― あれだけ個性の強いキャラクターが一つの空間に集まることは、なかなかないと思いますが、撮影現場の雰囲気はいかがでしたか？
皆本 普段から個性の強い人が多いので(笑)。撮影の時は、みなさんまだ会ったばかりだったので、ユキみたいに「なんだろう、この人たちは？ いろんな人がいるなぁ」って(笑)。役柄と作品と撮影の状況や置かれた立場は、ユキと似たような状況でした。自分とユキとがうまくリンクして挑めたのは、みんなのおかげというか。本当に、変な人ばっかり(笑)。
― 戸惑っている皆本さんの様子が目に浮かびます(笑)。本作で、強く印象に残っているシーンを教えてください。
皆本 とくに記憶に残っているのは、黒ネクタイの男を演じた松田凌さんと懐中電灯の男を演じた川本成さんと三人で、和室に座って話すシーンです。早朝から撮影して最後の方に撮ったシーンだったので、他のみんなは「お疲れ様でした！」ってどんどん帰っていっちゃって…。もう遅い時間で役者は三人くらいしか残っていなかったんです。早朝からみんなでがんばってきて、「このシーンは何度も撮るシーンじゃないね。一回で決めよう！よし、いくぞ！」と。
― 一発OKでしたか？
皆本 そうだったと思います。長回しでいろんな角度から撮ってはいますが、「一回でやりましょう！」というぎゅっと凝縮した感じにゾクっとしたのを覚えています。
― 物語の中でも印象に残るシーンですよね。
皆本 人間味があるというか、人のあったかさみたいなものをすごく感じられるシーンだったかなと。ユキも自分のことを少しだけ話すシーンですし。
― ユキの過去がほんの少し垣間見える。ここはぜひ見ていただきたいシーンですね。
皆本 はい！でも、そんなふうにがんばって撮ったのに、完成した映画を見ている途中で、「あれ？私のシーンがカットされてる！ええー？私やったのにな？」って思ったんですけど、お話にのめり込み過ぎて、勘違いしていました。ちゃんとありました。（笑）
― すっかり見る側として夢中になってしまった？
皆本 完全に映画に翻弄されていました(笑)。あと、映像になると水槽がすごくきれいだなと思いました。魚も水も印象的ですよね。
© 2018「ONLY SILVER FISH」製作委員会
― 水のゆらぎもそうですし、水槽の色もすごくきれいで印象的でした。
皆本 それはぜひ劇場で見ていただきたいですし、私も大きいスクリーンで、もう一度見たいなと思います。
― もし、世界にたった一匹だけのあの魚が目の前にいて、一度だけ振り返れるとしたら、振り返りますか？
皆本 えー！怖いですよね、振り返るのって。振り返りたいような気もするし…でも…。私は、振り返らないかな。
― 振り返らない選択を？
皆本 良いことも悪いことも含めて、今まであったことの全部が今の私になっていると思うので、もう少しこのままこの先も進んでいきたいなと。今のところは。でも、わからないですよ。来年もしかしたら「去年のあの時に振り返りたい！」って思うかもしれない(笑)。
― 良いことも悪いことも全部を含めて受け入れて今を進むというのは素敵だなと思います。ミュージカルや舞台でさまざまな役を演じていらっしゃいますが、役を演じるにあたって、大事にしていることを教えてください。
皆本 ある先輩が「自分がああしようこうしようとか、うまくいようということよりも、相手がそこに居やすいように、お芝居の役としてその瞬間瞬間にそこに居られるように、自分が居なきゃいけない」っておっしゃられたんです。それ以来、自分のことよりも相手のためにお芝居をするというのは、ずっと頭の中にはあります。できていないですけど…。
― 先輩の言葉を大事にして、日頃から心に置いて演じていらっしゃるのですね。
皆本 そうすることによって、お芝居で受け取るものがすごくあるんです。一人で演じているわけではないので、その言葉はいつも頭の中にあります。
© 2018「ONLY SILVER FISH」製作委員会
― 最後に、これからチャレンジしたいことや、実現したい野望を教えてください。
皆本 今、舞台で『魔界転生』という時代劇をやっています。時代劇が初めてなので、すごく難しくて、勉強になる毎日です。毎日毎日、先輩方の佇まいや歩き姿を見て、勉強することばかりですが、もっと時代劇をやりたいと思っています。
― 時代劇は着物の足さばきや剣さばきなどが難しそうですね。
皆本 衣装で着物を着付けてもらうのですが、着物を着ると背筋が伸びてシュっとした気持ちになるんです。あの感覚は好きですね。舞台だと全身を見られるので、立ち居振る舞いは難しいなと思いますが、大先輩方を見て勉強しています。松平健さんは大大大先輩ですが、本当にもう剣をスッと抜いただけで凛とした気迫が迫ってくるというか、「ほぉぉぉぉ！」っていう気持ちになるので憧れています。女優をずっと続けていきたいので、ちゃんと続けていくこと、そして、いつかは着物をちゃんと着こなせる女優さんになりたいです。
ヘアメイク：瀬戸口清香（S-SIZE）
衣装：瓢子ちあき
撮影・インタビュー・文：出澤由美子
＜PROFILE＞
皆本麻帆（みなもとまほ）
1990年4月21日生まれ。広島県出身。
2001年ミュージカル「Annie」で主人公・アニー役を務める。以降、ミュージカル・舞台を中心に、女優として活動する。近年の出演作に、舞台「あの城」・ミュージカル「アメリ」、ドラマ「ヒモメン」（EX）などがある。27日まで東京・明治座にて、12月9日からは大阪・梅田芸術劇場にて日本テレビ開局65年舞台「魔界転生」に出演。来年も2月にミュージカル「イヴ・サンローラン」、4月にミュージカル「いつか～OneFineDay」に出演予定。
『ONLY SILVER FISH – WATER TANK OF MARY’S ROOM』
11月24日より池袋 シネ・リーブルほかで順次公開
© 2018「ONLY SILVER FISH」製作委員会
人里から離れた古い洋館。
その屋敷に置かれた大きな水槽の中には、ONLY SILVER FISH と呼ばれる1 匹の魚がいる。
そこに集まった、黒ネクタイの男（松田凌）、ネックレスの女（皆本麻帆）、白ネクタイの男（玉城裕規）、チョーカーの女（高柳明音）ら、名前も素性もわからない十数名の男女。
そしてその中の一人が持っていた招待状には、次のような謎の言葉が…。
「ようこそ。消したい過去のある皆様へ。取り戻すことのできない過去を取り戻す幸運さをその魚は知っている。但し、その魚の名を当てる事が出来れば、一度だけ、過去を振り返ることができる」
そして、それぞれが持っている招待状の指令によって、一人、また一人とその場にいる人間が殺されていく。
なぜこんな不条理な連続殺人が起きるのか？
なぜ彼らは洋館に集められたのか？
恐るべき陰謀による、時空を超えた命がけのゲームが、今、始まる！
原作・脚本・監督：西田大輔
出演：松田凌 皆本麻帆 玉城裕規
高柳明音(SKE48) 伊藤裕一 山口大地 小槙まこ 双松桃子
菊地美香 辻本耕志 中村誠治郎 川本成
公式サイト:https://www.mmj-pro.co.jp/onlysilverfish/
