YABOサタデー映画館―2017.10.21
『YABO』の由来は野望。
野望という強い意志を持って前向きに生きる人を取材し、その人の魅力や情報を発信するフリーペーパーです。
WEB版では毎週土曜日に「YABOサタデー映画館」を掲載。
作品をあらすじとともに野望や希望、理想にあふれる人物をYABO人としてピックアップします。
今週は下記の6作品をご紹介します。
『アトミック・ブロンド』
『女神の見えざる手』
『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』
『バリー・シール/アメリカをはめた男』
『ミックス。』
『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』
『アトミック・ブロンド』
YABO人:MI6の諜報員ロレーン・ブロートン(シャーリーズ・セロン)
1989年、冷戦末期。イギリスの諜報員ガスコインが殺され、彼が持っていた世界中で暗躍する各国機関のスパイの名前が記録されたリストが奪われた。そのリストを奪い返すミッションを受け、弁護士として西ベルリンに潜入。MI6ベルリン支部の敏腕エージェント、デヴィッド・パーシヴァル(ジェームズ・マカヴォイ)と合流する。しかしパーシヴァルは不審な行動を連発。ガスコインを裏切った二重スパイを探し出して、始末する極秘ミッションのため、パーシヴァルとは微妙な距離感を保ちながら、単独で東ベルリンにも潜入する。
主人公の女スパイ ロレーンを演じるのは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサ役で高い評価を受けるシャーリーズ・セロン。ハードな身体的トレーニングなど徹底した役作りで撮影に臨み、タフで美しいヒロインを作り上げた。ワンカットで撮られた7分半にわたる大乱闘ではビルの階段を移動しながら複数の殺し屋を1人ずつ倒していく。迫真の臨場感だ。
『アトミック・ブロンド』
10月20日(金)より全国ロードショー!
監督:デヴィッド・リーチ
出演:シャーリーズ・セロン、ジェームズ・マカヴォイ、ソフィア・ブテラ、ジョン・グッドマン、トビー・ジョーンズ
配給:KADOKAWA
© 2017 COLDEST CITY, LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://atomic-blonde.jp/
『女神の見えざる手』
YABO人:敏腕ロビイストのエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)
コール=クラヴィッツ&Wの花形ロビイストで、勝つためには手段を選ばず、一切の妥協を許さない仕事ぶりはクライアントから高く評価され、政府やメディアからも一目置かれる存在だった。しかし、女性を味方にして新たな銃規制法案を廃案に持ち込むという銃擁護派団体からの依頼をきっぱりと断ると、上司のデュポン(サム・ウォーターストン)からクビを言い渡される。
その夜、パーティの帰りに小さなロビー会社のCEO、シュミット(マーク・ストロング)から、銃規制法案の成立に尽力する自分と一緒に闘わないかと誘いを受け、シュミットの会社へ部下を引き連れて移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。しかし、スタッフに命の危険が迫り、巨大な権力をもつ銃擁護派団体や元同僚によって在職中に手がけた仕事の不正を摘発される。そしてワシントンD.C.で、スパーリング上院議員(ジョン・リスゴー)による聴聞会に召喚され、過去のスキャンダルが暴かれるなど、事態は予測できない方向へ進んでいった。
たたみ込むようなセリフの応酬が続き、ストーリーの展開は勢いと緊張感がある。しかし理路整然としているので流れはつかみやすい。
主人公のエリザベスを演じるのは『ゼロ・ダーク・サーティ』アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたジェシカ・チャステイン。毅然とした表情で、同僚や部下を道具扱いし、奇策を仕掛ける。勝つことに執着し、一瞬のすきも見せない。しかし、ふっとした瞬間に見せる不安げな素顔を知ってしまうと応援したくなる。
ラストのどんでん返しは天晴れだ。振り返る伏線シーンにすっかり騙されていたことに気づく。しかし、伏線はそれだけではない。ラストを知った上で、もう一度見ると、細やかな差配がされていたことに気づくだろう。
『女神の見えざる手』
10/20(金)より、TOHOシネマズシャンテ ほか全国ロードショー
監督:ジョン・マッデン
出演:ジェシカ・チャステイン、マーク・ストロング、ググ・バサ=ロー、ジョン・リスゴー
配給:キノフィルムズ
©2016 EUROPACORP-FRANCE 2 CINEMA
公式サイト: http://miss-sloane.jp/
『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』
鷹の爪団は、怪人や秘密兵器を作って「人と地球にやさしい世界征服」を企む悪の秘密結社。メンバーは総統、吉田くん、レオナルド博士、菩薩峠、フィリップの5人。正義のヒーロー・デラックスファイターに邪魔されたり、マヌケな失敗をしてばかりいるが、世界征服は諦めない。
YABO人:吉田くん(本名:吉田 ジャスティス カツヲ)
鷹の爪団の戦闘主任・怪人製造主任。かなりいい加減で、自由奔放。総統に忠誠心があるのか疑わしいが、いざという時には頼りになる男。島根県出身で、島根を愛している。ジョーカー率いるヴィラン達がこっそり来日する。その狙いは、天才博士レオナルドが開発した鷹の爪団の秘密兵器を奪い、悪用すること。いち早く危機を察知したジャスティス・リーグは東京に集結し、鷹の爪団と合流する。しかし、ジャスティス・リーグの派手なアクションシーンを描くとお金がかかり、途端にバジェットゲージ(※1)が低下。画面が雑になる問題が発生する。そこで、ジャスティス・リーグから離れてアメリカに残っているバッドマンに資金援助してもらおうと説得を始める。
※1
鷹の爪の映画は予算をリアルタイムで表示する「バジェットゲージ」システムを採用。お金のかかるシーンになると一気にゲージが削られるが、上映中にさまざまな広告を表示するプロダクトプレイスメントによって減った予算を補う。予算が減るとゲージが下がるだけでなく、いきなり作画が荒くなる一目瞭然のシステムに観客も鷹の爪団の貧乏を体感できる。
今作でバッドマンの声を務めるのは自他ともに認めるバッドマンファンの山田孝之だが、山田孝之であることを忘れてしまうくらい役になり切っている。一方、ジョーカーを演じた安田顕はその声がいつまでも頭の中に残り、今後、テレビや映画でどんな善人役を演じても、頭の中でジョーカーに脳内変換されてしまいそうだ。
『DCスーパーヒーローズ vs 鷹の爪団』
2017年10月21日 全国ロードショー
監督・脚本・原案:FROGMAN
出演:山田孝之、知英、安田顕、鈴村健一、松本梨香、浪川大輔、中井和哉、高木渉、岩田光央、内田彩、犬山イヌコ、金田朋子ほか
ワーナーブラザース映画
©Warner Bros. Japan and DLE. DC characters and elements © & ™ DC Comics. Eagle Talon characters and elements © & ™ DLE. All Rights Reserved.
公式サイト: http://dc-taka.com/
『バリー・シール/アメリカをはめた男』
YABO人:天才的な操縦技術を誇る、大手民間航空会社のパイロット、バリー・シール(トム・クルーズ)
大手民間航空会社のパイロットとして何不自由ない暮しを送っていたが、天才的な操縦技術を見込まれ、CIAのエージェントにスカウトされる。偵察機のパイロットとしてCIAの極秘作戦を遂行する過程で伝説的な麻薬王パブロ・エスコバルらと接触し、運び屋としてもその才能を見せ始める。ホワイトハウスやCIAの命令に従いながら、その裏で麻薬や武器の違法な密輸ビジネスをして莫大な財産を築いた。
CIAと麻薬王を手玉に取り、ホワイトハウスさえ騙した天才的な犯罪者は、なんとアメリカの裏歴史に封印されてきた実在の人物。クライムサスペンスとしてシリアスに描くこともできる題材を、溢れる才能と愛嬌を持ち合わせた人物のサクセスストーリーとして、どこまでも明るく豪快に描いた。主演は本作の制作を熱望したトム・クルーズ。すべて自らこなしたという飛行シーンを見ているとトムのワクワクしながら演じている気持ちが画面いっぱいに伝わってくる。
『バリー・シール/アメリカをはめた男』
10月21日(土)全国公開
監督:ダグ・リーマン
出演:トム・クルーズ、ドーナル・グリーソン、サラ・ライト・オルセン
配給:東宝東和
© Universal Pictures
公式サイト: http://barry-seal.jp/
『ミックス。』
YABO人:かつての“天才卓球少女”多満子(新垣結衣)
卓球選手だった母のスパルタ教育により“天才卓球少女”として将来を期待されていたが、母の死後、普通に青春を過ごし、普通に就職して平凡な日々を送っていた。あるとき、幼い頃に憧れていた江島(瀬戸康史)が会社の卓球部に迎えられ、ひょんなことから付き合うことになる。ついにバラ色の人生が!と思った矢先、新入社員の美人卓球選手・愛莉(永野芽郁)に江島を寝取られてしまう。人生のどん底に落ち、逃げるように田舎に戻ったが、亡き母が経営していた卓球クラブは赤字に陥り、かつて青春を捧げた活気のある練習風景はそこにはなかった。クラブの部員も、暇を持て余した元ヤンキーのセレブ妻、試合になるといつも腹痛で不戦敗になる農家の夫婦、オタクの引きこもり高校生、さらにケガで引退した元日本ランカーのプロボクサーながら、妻の上司を不倫相手と勘違いして暴力事件を起こし、妻と娘に見捨てられた新入部員の萩原(瑛太)など、全く期待が持てない面々だった。しかし、江島と愛莉の幸せそうな姿を見て、クラブ再建と打倒江島・愛莉ペアを目標に、全日本卓球選手権の男女混合ダブルス(ミックス)部門への出場を決意。戸惑う部員たちを叱咤激励しながら、大会へ向け猛練習を開始する。
不器用でどこか欠点だらけの登場人物たちが、卓球の男女混合ダブルス(=ミックス)を通じて小さな“奇跡”を起こす。昨年、社会現象となった大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で主演を務めた新垣結衣と実力派俳優・瑛太が恋と人生の再生をかけたロマンティックコメディで笑い、泣かせてくれる。
出演シーンは少ないものの印象に残るのが蒼井優。卓球クラブのメンバー行きつけの中華料理店「揚揚苑」の店員を演じているが、怪しげな中国語がはまっている。
『ミックス。』
2017年10月21日全国東宝系にてロードショー
監督:石川淳一
出演:新垣結衣、瑛太、広末涼子、瀬戸康史、永野芽郁、佐野勇斗、森崎博之/ 蒼井 優、山口紗弥加、中村アン、久間田琳加、神尾 佑、平山祐介、斎藤 司(トレンディエンジェル)、佐野ひなこ、鈴木 福、谷 花音、平澤宏々路、関 太(タイムマシーン3号)、真木よう子 /吉田鋼太郎、池上季実子、松尾 諭、生瀬勝久/
田中美佐子 遠藤憲一 小日向文世
配給:東宝
© 2017『ミックス。』製作委員会
公式サイト: http://mix-movie.jp/
『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』
皇暦2017年。超大国神聖ブリタニア帝国が日本を占領し、日本は「エリア11」、日本人は「イレヴン」と呼ばれるようになり、名前と自由を奪われたまま7年が経過していた。
YABO人:ブリタニア帝国の皇子ルルーシュ(福山 潤)
母を何者かに殺され、父である神聖ブリタニア帝国皇帝に国を追われ、人質として日本に送られた。戦後、正体を隠して学生として暮らしていたが、レジスタンスとブリタニア軍の戦いに偶然巻き込まれ、謎の少女C.C.と出会う。C.C. から“ギアス”と呼ばれる絶対遵守の力を与えられ、母を死に至らしめ、妹ナナリーの目と足の自由を奪った神聖ブリタニア帝国を潰す時がついに訪れたと悟る。仮面を被り、反逆者ゼロとして反ブリタニアを掲げるレジスタンス・黒の騎士団を率い、暗躍を始めた。そんなとき、幼なじみ枢木スザクと再会。スザクにナナリーを託そうとする。
YABO人:ルルーシュの幼なじみ枢木スザク(櫻井孝宏)
イレヴンでありながら名誉ブリタニア人として、ブリタニア軍の兵士となっていた。新型兵器ランスロットのパイロットに抜擢され、ブリタニア軍の要となっていく。そして、お互いの立場を知らないままルルーシュ=ゼロと再会を果たす。
声優としてのキャリアを積んだ福山潤が新たに声をあてることで、ルルーシュの苦悩がより鮮明になっている。作画も新しくしたのか、10年前と比べて、CGの技術が進歩していることで、ナイトメアフレームの動きが滑らかになり、攻撃がダイナミックになった。特に紅蓮弐式、ランスロットにそれを感じる。テレビアニメと同じオープニング曲「COLORS」を使っていることでテレビ放送を見ていたころを思い出す。またHitomiが歌っている曲など挿入歌が効果的に使われていた。2時間を超える長尺だが、長さをまったく感じさせない。2月公開の次作が楽しみだ。
◆劇場3部作公開を記念して、BS11にてTVシリーズ『コードギアス 反逆のルルーシュ』・『コードギアス 反逆のルルーシュ R2』全50話放送中。
2017年10月1日より毎週日曜19:00~(2話連続にて)
※放送局の都合により、放送日時に変更の可能性があり。
<監督:谷口悟朗&シリーズ構成・脚本:大河内一楼より『Ⅰ 興道』公開記念コメント>
谷口悟朗監督
これからご覧になる方へ。
テレビを観ていた方にも初めて観る方にも楽しめる作りにするよう構成してみたつもりです。とは言え、申し訳ありません。2時間以上の長尺になってしまいました。昨今の映画では長い方なのは重々承知しています。情報も多いです。覚悟してください。
どうしようかと思っている方へ。
映画館で一番楽しめるように音なども調整しています。できればスタッフが想定している環境で楽しんでいただければ幸いです。
この作品は、架空の時代の地球を舞台としたものです。世界の殆どは「E.U」「中華連邦」、そして「神聖ブリタニア帝国」の3つで占められ、日本は神聖ブリタニア帝国に占拠され植民地になっているという設定です。そのなか、神聖ブリタニア帝国の棄てられた皇子と皇女が生きていて……という展開になるのですが、私としては設定を描くのではなく、そんな世界に生きてあがいて前に進もうとするルルーシュという人間を描きたいと思ってこの話をはじめました。それは、長い人類の歴史で見れば、たかだか数年のちっぽけな出来事なのかもしれません。しかし、だからこそ彼は進むのです。進まねばならないのです。そして、そんな彼の都合とは別に世界は、多くの人々もまた、自らの道のために進むのでしょう。それが世界であると私は考え、コードギアスを撮っています。
この作品は、十年前のテレビ作品を再構成したものです。それに対する是非はともかく、放送時の映像を使うことにたいするネガティブな意見が出ることは承知しています。醜いでしょう。無様でしょう。でも、それらも十年間あがいてきたスタッフやキャストの姿なのです。そういう意味で、私は、これはドキュメンタリーの一つだと考えています。そういうものが『コードギアス』の『反逆のルルーシュ篇』なのだと。願わくば、この情念が少しでも皆さんの心に届きますように。
脚本を担当した大河内一楼
『コードギアス 反逆のルルーシュ』の放映から、10年がたちました。
10年たっても、応援の声はやみませんでした。
多くのファンが、『コードギアス』を愛し続けてくれました。
その声に応える形で、続編の構想が持ち上がりました。
僕らは、これを機会に、これまでの『コードギアス』を総括し、新しい人にも楽しんでもらえるようにしたいと思いました。
といっても、テレビシリーズ50本を全部見るのは、なかなか入りづらいし、人にも薦めづらい。
なので、映画3本という形に再構成しました。
初めて『コードギアス』を知ったというみなさん、この映画だけを見てくれれば大丈夫です。
10年間『コードギアス』を愛してくれたみなさん、よかったら、この映画を薦めて、仲間を増やして下さい。
音声は全て新規収録、新作シーンの追加など、テレビシリーズを見てくれたみなさんも楽しめるように工夫しました。
10月21日から『コードギアス』の新しい10年が始まります。
そのスタート地点に、みなさん、立ちあっていただけると、とても嬉しいです。
『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』
2017年10月21日(土)公開 (全国79館)
監督:谷口悟朗
声の出演:福山潤、櫻井孝宏、ゆかな、小清水亜美、名塚佳織、折笠富美子、大原さやか
配給:ショウゲート
©SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design ©2006-2017 CLAMP・ST
公式サイト: http://www.geass.jp/L-geass/