YABOサタデー映画館―2018.2.3

『YABO』の由来は野望。
野望という強い意志を持って前向きに生きる人を取材し、その人の魅力や情報を発信するフリーペーパーです。
WEB版では毎週土曜日に「YABOサタデー映画館」を掲載。
作品をあらすじとともに野望や希望、理想にあふれる人物をYABO人としてピックアップします。

今週は下記の4作品をご紹介します。
『スリー・ビルボード』
『不能犯』
『THE PROMISE 君への誓い』
『巫女っちゃけん。』

『スリー・ビルボード』

『スリー・ビルボード』

©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

YABO人:7カ月前に娘を殺されたミルドレッド・ヘイズ(フランシス・マクドーマンド)
さびれた道路に立ち並ぶ、忘れ去られた3枚の広告看板を見つけ、それを管理するエビング広告社と1年間の契約をする。そこに警察を非難するメッセージを出した。娘が殺された事件の捜査が一向に進展しないことに腹を立ててのことだった。取材に来たTVのニュース番組のレポーターには「犯罪を放置している責任は署長にある」と答える。人情味あふれる署長のウィロビー(ウディ・ハレルソン)を敬愛する部下のディクソン巡査(サム・ロックウェル)や町の人々は広告に憤慨。敵視されるようになる。一人息子のロビー(ルーカス・ヘッジズ)や、離婚した元夫のチャーリー(ジョン・ホークス)からも理解を得られず、孤立無援となっていった。

反抗期真っ盛りの娘に、言い放った言葉をミルドレッドは深く後悔していた。だからこそ、それを最後の言葉にしてしまった犯人が許せない。同じ親として共感できるものの、その行動は過激だ。ミルドレッドだけでなく、この作品に登場する人物はみな、良い面も悪い面も持ち合わせている。まったくの善人はいない。しかし、みな一生懸命に生きている。きっと誰もが登場人物の誰かに共感できるだろう。
アカデミー賞作品賞に最も近い賞として近年注目される、トロント国際映画祭観客賞を受賞。先に開催されたベネチア国際映画祭でも脚本賞に輝き、早くも本年度賞レースの大本命との呼び声も高い超話題作。

『スリー・ビルボード』
2018年2月1日(木)全国ロードショー
監督: マーティン・マクドナー
出演: フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェル、ジョン・ホークス、ピーター・ディンクレイジ
配給: 20世紀フォックス映画
©2017 Twentieth Century Fox Film Corporation
公式サイト: http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/

『不能犯』

『不能犯』

©宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会

YABO人:宇相吹正(松坂桃李)
とある電話ボックスに、殺人の依頼を残しておくと、どこからともなく現れ、ターゲットを確実に死に至らしめる。その死因はどれも病死や自殺、事故で、いずれの被害者も検死をしても、何一つとして証拠が出てこない。視線だけで人を死に導く。愛憎や嫉妬、欲望にまみれた人々が日々、殺人の依頼に訪れてくる。 あるとき、刑事の多田(沢尻エリカ)によって身柄を確保され、多田の上司の夜目(矢田亜希子)の取り調べを受けるが、次第に夜目の様子がおかしくなり、最終的に解放される。

不能犯とは、思い込みやマインドコントロールで殺すなど、目的は犯罪だが、常識的に考えて実現が不可能な行為。たとえ相手が死んでも罪には問われない。集英社「グランドジャンプ」に連載中の人気コミックを『貞子vs伽椰子』の白石晃士監督が実写化し、松坂桃李がダークヒーローに挑んだ。原作の宇相吹はお茶目なところもあるが、松坂桃李が演じることで気品も備わった。
2018年は松坂桃李の年といっても過言ではない。1月に『パディントン2』で主人公のパディントンの吹き替えを担当し、本作の後も4月に『娼年』、5月に『孤狼の血』と出演作が続く。まずは『不能犯』で邪悪な魅力を味わってほしい。

『不能犯』
2018年2月1日(木)全国ロードショー
監督: 白石晃士
出演: 松坂桃李、沢尻エリカ
新田真剣佑、間宮祥太朗、テット・ワダ、菅谷哲也、岡崎紗絵、真野恵里菜、忍成修吾、水上剣星、水上京香、今野浩喜、堀田茜、芦名星、矢田亜希子、安田顕、小林稔侍
配給: ショウゲート
©宮月新・神崎裕也/集英社 2018「不能犯」製作委員会
公式サイト: http://funohan.jp/

『THE PROMISE 君への誓い』

『THE PROMISE 君への誓い』

©2016THE PROMISE PRODUCCIONES AIE-SURVIVAL PICUTRES,LLC.ALL RIGHTS RESERVED.

YABO人:アルメニア青年のミカエル(オスカー・アイザック)
トルコ人とアルメニア人が共存して暮らす村シルーンで育ち、本格的な医療を学ぶために裕福な家の娘マラル(アンジェラ・サラフィアン)と婚約。マラルの持参金を学資にして、オスマン帝国の首都コンスタンチノープルの帝国医科大学に入学する。
コンスタンチノープルで商人をしている父の従弟メスロブ(イガル・ノール)の邸宅に下宿し、大学で出会った大物政治家の息子エムレ(マルワン・ケンザリ)や、メスロブの娘の家庭教師アナ(シャルロット・ルボン)と友人になる。第一次世界大戦が始まりトルコも参戦し、徴兵の招集がかかる。医学生として徴兵免除を申請するが、アルメニア人だからと受け付けてもらえない。戦地に送られそうになるが、エムレに救ってもらう。戦意高揚とともに国内ではトルコ人の民族主義が高まり、アルメニア人への差別と弾圧が横行し始める。ミカエルも襲われて怪我を負い、アナと一緒に近くのホテルに避難。その晩に初めてアナと結ばれる。

本作にはミカエル、アナのほかにもう一人、重要な人物として、アナの恋人でアメリカ人ジャーナリストのクリス・マイヤーズ(クリスチャン・ベイル)が登場する。クリスは身の危険も顧みず、トルコ人によるアルメニア人弾圧を世界に伝え、彼らの救出に奔走した。
テリー・ジョージ監督は『ホテル・ルワンダ』で1994年のルワンダ大虐殺事件を描いたが、本作で、「20世紀最初のジェノサイド」と言われる、150万人のアルメニア人が虐殺された悲劇を伝える。人と人が分かり合うのは難しい。それでも理解し合おうとする気持ちは持ち続けたい。暴力による決着を許してはいけないと思わずにはいられない。

『THE PROMISE 君への誓い』
2018年2月3日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:テリー・ジョージ
出演:オスカー・アイザック、シャルロット・ルボン、クリスチャン・ベイル、ジェームズ・クロムウェル、ジャン・レノ
配給: ショウゲート
©2016THE PROMISE PRODUCCIONES AIE-SURVIVAL PICUTRES,LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://www.promise-movie.jp/

『巫女っちゃけん。』

『巫女っちゃけん。』

© 2017 『巫女っちゃけん。』製作委員会

YABO人:しわす(広瀬アリス)
子どもの頃に母親が家を出ていったことがトラウマで、いつも不機嫌で反発ばかり。短大卒業後に就職したが、すぐに辞めてしまう。父親が宮司している神社で巫女のバイトをしているものの、文句ばかりで、仕事をサボりがち。就活もうまくいかない。
そんなとき、神社でボヤ騒ぎ起こったり、賽銭や食べ物が盗まれたりする事件が発生。夜中の境内見回っているときに、境内に隠れていた5歳の少年、健太を捕まえる。何を聞いても何も話さない健太をしばらくの間、神社で面倒をみることになり、イヤイヤながら健太の世話役になる。ところが、健太は悪ガキで、参拝客に石を投げたり、賽銭箱を燃やそうとしたりするので、手を焼いてしまう。
ある日、健太の母親が子どもを迎えにきて、世話役から解放されるが、数日後、境内で顔に殴られたアザがある健太を見つける。母親から捨てられた自分の姿と重ね合わせ、健太を守らなければという思いを強くする。

主人公しわすはやる気がなく、態度も口も悪い。とても巫女とは思えない。しかし、母親の愛に飢えた健太の内面に気がつき、思いを受け止めていく。同じように、見ている者もしわすの気持ちがわかってくる。イメージが壊れることを厭わず、広瀬アリスが演じ切ったからだろう。5歳の健太を演じたのは、公開オーディションで選ばれた山口太幹。セリフのない難しい役だが、観る者に印象を残す。

『巫女っちゃけん。』
第30回東京国際映画祭の特別上映作品
2018年2月3日(土)より新宿武蔵野館・渋谷TOEI他全国ロードショー
監督: グ スーヨン
出演: 広瀬アリス、山口太幹、MEGUMI、飯島直子(特別出演)、リリー・フランキ―
配給: スリーパーエージェント
© 2017 『巫女っちゃけん。』製作委員会
公式サイト: http://mikomovie.com/

2018-02-03 | Posted in NEWSComments Closed