YABOサタデー映画館―2017.9.30
『YABO』の由来は野望。
野望という強い意志を持って前向きに生きる人を取材し、その人の魅力や情報を発信するフリーペーパーです。
WEB版では毎週土曜日に「YABOサタデー映画館」を掲載。
作品をあらすじとともに野望や希望、理想にあふれる人物をYABO人としてピックアップします。
今週は下記の5作品をご紹介します。
『ドリーム』
『パーフェクト・レボリューション』
『亜人』
『ヴェンジェンス』
『夜間もやってる保育園』
『ドリーム』
YABO人:天才的な数学者キャサリン(タラジ・P・ヘンソン)
コンピュータの導入がまだだった時代、ソ連との熾烈な宇宙開発競争を繰り広げるNASAのラングレー研究所では、優秀な頭脳を持つ黒人女性たちを集め、高度で複雑な計算をさせていた。そこでドロシー(スペンサー)とメアリー(モネイ)とともに働いていたが、あるとき宇宙特別研究本部のメンバーに抜擢される。職場は白人男性だけで、女性蔑視が甚だしく、計算に必要な情報でも極秘情報は与えられない。しかも、オフィスのあるビルには有色人種用のトイレがなく、わざわざ遠く離れたビルまで行かされていた。しかし、劣悪なオフィス環境にじっと耐え、ロケット打ち上げに欠かせない複雑な計算や解析に取り組み、その類い稀な実力をハリスン(ケビン・コスナー)に認められる。
キャサリンがメインに描かれているが、ドロシーやメアリーもそれぞれの立場で奮闘する。
リーダー格のドロシーは管理職への昇進を希望するも叶わなかったが、IBMのコンピュータが導入されたものの使いこなされていなかったのを見て、独学でフォートランと呼ばれるプログラミング言語を習得。データ処理を担当することになった。先を見通し、職場で必要な人間になるための努力を惜しまない。さらに、その知識を仲間にシェアすることでグループとして雇用され、道は開けていく。
メアリーは技術部に配属されたが、エンジニアになるために学位が必要と言われる。裁判所の判事に掛け合い、白人専用の学校で学位を得るための技術者養成講座を受講する許可を得て、エンジニアへの道を進んでいく。ここで注目したいのは、メアリーの判事への対応の妙。自分の主張だけを訴えるのではなく、その判事がこれまでどのような道を歩んでいたのかを調べ、その業績に賛辞を送りつつ、ここで受講許可を出すことが判事自身にとっても有益であることを伝えた。交渉のテクニックとして参考になる。
このように、理不尽な障害にキャリアアップを阻まれていた3人が仕事と家庭を両立させ、ひたむきに夢を追い続け、自らの手で新たな扉を開いていく姿は見る人に希望を与えてくれるだろう。
『ドリーム』
2017年9月29日(金) 全国ロードショー
監督: セオドア・メルフィ
出演: タラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイ、ケビン・コスナー、キルスティン・ダンスト、ジム・パーソンズ、マハーシャラ・アリ
配給: 20世紀フォックス映画
ⓒ2016Twentieth Century Fox
公式サイト: http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/
『パーフェクト・レボリューション』
YABO人:クマ(リリー・フランキー)
幼少期に脳性麻痺を患い、手足を思うように動かせず車椅子生活をしている。しかしセックスには興味があり、車椅子で書店に行ってHな本を買うなど、ひとりの人生を楽しんでいる。そして「身体障害者だって恋をするし、セックスもしたい! 障害者はただの人間なんです!」と、障害者の性に対する理解を訴えるための活動していた。ある日、講演を聞いた美少女・ミツ(清野菜名)から猛烈なアプローチを受ける。最初は障害のある体では恋愛は無理と諦めていたが、積極的なミツに次第に惹かれていく。「あなたとわたしみたいな不完全な者同士が幸せになれたら、それってすごいことだと思わない?」「生まれも性別も、職業も能力も、お金も年齢も幸せには関係ないって、世界に証明するの!」と叫ぶミツとともにまわりに立ちはだかる壁をぶち壊して、“完全なる革命”を成し遂げようとする。しかし、ミツは人格障害を抱えており、二人の恋を応援してくれるのはヘルパーの恵理(小池栄子)だけだった。
企画・原案は、講演やイベントなどさまざまな活動を通じて、自身も脳性麻痺を抱えつつ障害者の性への理解を訴えつづける活動家・熊篠慶彦。彼の実話にもとづく物語を、松本准平監督がポップで力強く映画化。熊篠の長年の友人であるリリー・フランキーが、彼の活動と生きざまが映画になると聞き、役柄を問わず協力したいといって本作への参加を決断した。幼い頃に患った脳性麻痺の影響で手足を思うように動かせないクマを繊細な表情とリアルな感情で見事に表現する。
『パーフェクト・レボリューション』
9月29日(金)TOHOシネマズ 新宿他にて全国公開!
出演:リリー・フランキー 清野菜名 小池栄子 岡山天音 余 貴美子
監督・脚本:松本准平
企画・原案:熊篠慶彦(著書「たった5センチのハードル」)
制作・配給:東北新社
配給: 東北新社
©2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会
公式サイト: http://perfect-revolution.jp/
『亜人』
亜人(あじん)
命を繰り返す新人類。その姿は人間と全く同じ。
1.絶命→蘇生→完全復活と命のリセットをし続ける。
2.死んで初めて自分が亜人であることを知る。
3.亜人にしか見えない「ある能力」を持つ。
YABO人:永井圭(佐藤健)
病気の妹を救うために研修医となったが、ある日、交通事故で死亡した直後に生き返り、亜人と発覚。国立の研究機関が行う非人道的な実験のモルモットとなってしまう。毎日何度も殺されているところに亜人のテロリスト「佐藤」が現れ、救いの手を差し伸べた。逃避行を繰り返しながら、自分の運命をうけいれようと葛藤する。しかし、それは佐藤が描く世界とは異なっていた。
「踊る大捜査線」「SP」「PSYCHO-PASS」でエンターテインメントの可能性を切り開いてきた本広克行がメガホンを執り、映画『るろうに剣心』を創り上げたスペシャリストたちがアクションチームとして参加。テレビアニメシリーズと劇場版アニメ三部作がすでにある「亜人」を実写化した。原作とは年齢の違う佐藤健と綾野剛が圭と佐藤を演じることで、これまでの作品とは設定を変えている。しかし、作品を見始めると一気に物語に引き込まれ、まったく気にならない。佐藤健はビルから飛び降りるシーンを飛ぶところから着地まで1カットでこなす。優れた身体能力があってこそのこと。綾野剛はストイックなまでに完璧な肉体改造をして撮影に臨んだ。最凶最悪の不死身テロリスト・佐藤役には綾野剛しか考えられない気がしてくる。
『亜人』
2017年9月30日全国東宝系にてロードショー
原作:桜井画門(講談社「good!アフタヌーン」連載)
監督:本広克行
脚本:瀬古浩司 山浦雅大
出演: 佐藤健 玉山鉄二 城田優 千葉雄大 川栄李奈 山田裕貴
浜辺美波 品川祐 / 吉行和子 / 綾野剛
配給: 東宝
©2017映画「亜人」製作委員会 ©桜井画門/講談社
公式サイト: http://ajin-movie.com/
『ヴェンジェンス』
YABO人:ジョン(ニコラス・ケイジ)
湾岸戦争の英雄であり、退役後は刑事として働いたが、とある事件で長年の相棒を亡くして失意の日々を過ごしていた。ある日1人で飲んでいたバーでティーナ(アンナ・ハッチソン)と出会う。そのティーナが愛娘ベジー(タリタ・ベイトマン)の目の前で町のチンピラたちにレイプされ、助けを求めて逃げてきたベジーを見つけて保護する。犯人たちは逮捕されるが、高額で雇われた敏腕弁護士カートパトリック(ドン・ジョンソン)の力で無罪を勝ち取り、逆にティーナと家族を激しく中傷する。法で裁けぬ悪に怒りを爆発させ、犯人たちに自らの手で制裁を加えることを決意する。
母親が暴漢に襲われるところを目撃したベジーは、事件の後も犯人たちから嫌がらせを受ける。しかし、それに怯むことはなく、事件で身体だけでなく心も傷ついた母親に12歳の少女とは思えない気遣いを見せる。そんな健気なベジーをタリタ・ベイトマンが好演。ニコラス・ケイジが演じるジョンが犯人たちに制裁を加えたのは、ティーナのためではなく、ベジーのためでないかと思えてくる。
『ヴェンジェンス』
9月30日(土)より新宿バルト9ほか全国ロードショー
監督:ジョニー・マーティン
出演: ニコラス・ケイジ、アンナ・ハッチソン、ドン・ジョンソン、デボラ・カーラ・アンガー、タリタ・ベイトマン、ジョシュア・ミケル、マイケル・パパジョン
配給:クロックワークス
©2017 DETECTIVE AND THE GIRL PROODUCTIONS, LLC All Rights Reserved.
公式サイト: http://vengeance-nicolas-movie.com/
『夜間もやってる保育園』
YABO人:九州で保育士をしていた片野清美さん
1983年に上京後、新宿で保育園を始め、現在は24時間保育を実施する「エイビイシイ保育園」の園長として日々奮闘中。この保育園は、2001年に東京都初の22時間開所の認可保育園に指定され、2004年度からは24時間認可の保育園として多くの子供たちを預かってきた。完全オーガニックの給食による食育や多動的な子どもたちへの療育プログラム、卒園後の学童保育など時代のニーズに合わせた先駆的な保育を行い、独自の試行錯誤を続けている。大宮監督に「夜間保育園の映画を作ってほしい」と手紙を書き、この作品が出来上がった。
現在、夜間に子どもを預かってくれる認可夜間保育園は全国に約80カ所ある。
本作では新宿歌舞伎町に隣接する大久保で24時間保育を行う「エイビイシイ保育園」を中心に、沖縄県那覇市の「玉の子夜間保育園」、北海道帯広市の「すいせい保育所」、新潟市の「エンジェル保育園」などの夜間保育現場を取材。さまざまな事情で夜間に子どもを預ける親や預かる保育士たち、すくすくと育つ子どもたちの姿を映し出す。
片野清美園長は人手不足で困っていたが、それは保育士をして働く娘さんの子どもの預け先が見つからず、仕事に復帰できないから。エイビイシイ保育園に子どもを預ける親たちが「ここがなかったら仕事が続けられなかった」といっているのにと思うとジレンマを感じずにはいられない。家族のありかたや働きかた、社会のかたちを浮かび上がらせていく。
夜間に子どもを預けることへの偏見や批判も多い。しかし、夜間も子どもを預けなければ仕事が続けられない親がいる。大事なのは子どもが安心して過ごせること。そのためにがんばっている人たちがいることを本作は伝えてくれる。
『夜間もやってる保育園』
9月30日(土)より、ポレポレ東中野にてロードショーほか全国順次公開
監督:大宮浩一
出演: エイビイシイ保育園 玉の子夜間保育園 すいせい保育所 エンジェル児童療育教室 たいよう保育園 魚住農園のみなさん ほか
配給: 東風
©夜間もやってる製作委員会
公式サイト:http://yakanhoiku-movie.com/