YABOサタデー映画館―2017.8.19
『YABO』の由来は野望。
野望という強い意志を持って前向きに生きる人を取材し、その人の魅力や情報を発信するフリーペーパーです。
WEB版では毎週土曜日に「YABOサタデー映画館」を掲載。
作品をあらすじとともに野望や希望、理想にあふれる人物をYABO人としてピックアップします。
今週は下記の6作品をご紹介します。
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
『隠された時間』
『ギフト 僕がきみに残せるもの』
『草原に黄色い花を見つける』
『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』
『ベイビー・ドライバー』
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
中学1年の典道(菅田将暉)の仲間は「打ち上げ花火は横からみたら丸いのか? 平べったいのか?」で盛り上がり、花火大会で確かめることになる。その日の夕方、同級生のなずな(広瀬すず)は母親の再婚による転校が嫌で町から逃げ出そうとするが、母親に連れ戻されてしまう。そこに居合わせた典道は何もできなかったもどかしさから、なずなが海で拾った不思議な玉を投げつける。すると、なずなが連れ戻される瞬間まで時間が戻っていた。
YABO人:中学1年の典道(菅田将暉)
釣り道具屋のひとり息子。自転車で中学に通っている。母親から逃げ出したいなずなに「駆け落ちしよう」と言われて戸惑うが、想いを寄せていることもあり、なずなの逃亡に同行。連れ戻されそうになるたびに不思議な玉を投げて、時間を戻す。
岩井俊二監督の伝説的ドラマ「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を長編アニメーション化。声の出演は、なずなを話題作への出演が相次ぐ広瀬すず。典道は声優初挑戦となる菅田将暉。この2人を声優界のトップランナー・宮野真守がクラスメイト役で支える。
クライマックスは打ち上げ花火が次々に上がるシーン。アニメーションだからこそできるファンタジックな映像は夢の象徴のよう。想いを寄せる少女のために、「もしも」の時間を繰り返す少年は、どんな夢を手に入れるのだろう。
『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』
2017年8月18日全国東宝系にてロードショー
原作:岩井俊二
脚本:大根仁
総監督:新房昭之
声の出演:広瀬すず、菅田将暉
宮野真守 / 浅沼晋太郎、豊永利行、梶 裕貴
三木眞一郎、花澤香菜、櫻井孝宏、根谷美智子、飛田展男 宮本 充、立木文彦/松 たか子
©2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
公式サイト:http://uchiagehanabi.jp/
『隠された時間』
YABO人:少女スリン(シン・ウンス)
母が再婚直後に交通事故で亡くなり、義父に連れられ離島に引っ越してきた。義父にも、新しい学校にも馴染めず、孤独な日々を過ごしている。しばらくして、自分と同様に親のない少年ソンミン(イ・ヒョジェ)と知り合い、2人だけの秘密の暗号を作って友情を育む。お互いに淡い恋心が芽生えていた。ある日、ソンミンが同級生たちと立入禁止区域の洞窟に行こうとしているところに遭遇。一緒に洞窟に入り、光る石を発見する。その後、3人の少年が一瞬にして姿を消すという謎の失踪事件が発生。発見に結びつく手がかりもつかめず捜査が難航する。そんなとき、見知らぬ男(カン・ドンウォン)が突然姿を現し、「僕はソンミンだ」と主張。最初は驚くが、ソンミンであることを確信し、大人にわかってもらおうと奔走する。
時間の歪みに入り込み、心は少年のまま身体だけ大人になってしまったソンミン。淡い想いを寄せるスリンを心の支えに元の世界に戻ってきた。そんな難しいキャラクターをカン・ドンウォンが繊細で瑞々しく演じる。美しいビジュアルに憂いを帯びた表情が切ない。カン・ドンウォンは11月10日に公開される映画「MASTER マスター」で警察の知能犯罪捜査班の優秀なリーダーを演じているが、本作は母性本能をくすぐり、「MASTER マスター」とは対極にある魅力でファンを喜ばしてくれる。
『隠された時間』
8月19日(土)、シネマート新宿ほか全国順次公開
監督:オム・テファ
出演:カン・ドンウォン、シン・ウンス、キム・ヒウォン、クォン・ヘヒョ、ムン・ソリ、オム・テグ、イ・ヒョジェ
配給:ハーク
© 2016 showbox and barunson e&a ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:http://vanishingtime.com/
『ギフト 僕がきみに残せるもの』
YABO人:スティーブ・グリーソン
小柄ながらアメリカン・フットボールの最高峰NFLでニューオリンズ・セインツの選手として活躍。2006年、ハリケーン・カトリーナで壊滅的な被害を受けたニューオリンズで災害後初めて開催したホームゲームを劇的な勝利に導く。5年後、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症。その6週間後に子どもを授かったことを知る。生まれてくる子のために自分ができることは何かを探し、ビデオダイアリーを残しことに決めた。
アメリカン・フットボール選手を引退し、愛する女性と結婚。すべてが順風満帆と思っていたところに襲ってきた不幸。結婚式で牧師の前で誓った『病めるときも、健やかなるときも…』という言葉が現実になるとは思っていなかったはずだ。妻は周囲の心配を跳ね除け、夫を支えることを選ぶ。とはいえ、疲れが溜れば不満は生じる。作品では怒りや絶望のシーンもありのままに映し出す。きれいごとだけでは済まされない現実。それでもスティーブと妻のミシェルは「チーム・グリーソン」を立ち上げ、ALSの治療法を見つけることを目標に日々を生きている。諦めない2人にむしろこちらが元気をもらう気がしてくるだろう。
『ギフト 僕がきみに残せるもの』
8月19日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷他にて全国順次ロードショー
監督:クレイ・トゥイール
出演:スティーヴ・グリーソン(元NFL ニューオーリンズ・セインツ)、ミシェル・ヴァリスコ、エディ・ヴェダー(パール・ジャム)、スコット・フジタ ほか
配給:トランスフォーマー
© 2016 Dear Rivers, LLC
公式サイト:http://transformer.co.jp/m/gift/
『草原に黄色い花を見つける』
舞台は1980年代後半のベトナム中南部の貧しい村。ティエウ(ティン・ヴィン)とトゥオン(チョン・カン)兄弟と少女ムーン(タイン・ミー)は幼なじみ。ティエウはムーンが気になっているが、うまく想いを伝えることができない。ある日、ムーンの家が火事になり、兄弟の家に身を寄せることになる。ティエウはムーンへの気持ちが募り、ムーンと一緒にいる時間の長いトゥオンに嫉妬して、取返しのつかないことをしてしまう。
YABO人:ティエウ(ティン・ヴィン)
思春期を迎えた12歳。弟と石投げをして遊んだときに負けたふりをして油断させ、石をぶつける。弟に油断大敵ということを教えたつもりで、弟がケガをしてしまうという幼さを持つ。
恋と呼ぶには幼すぎる淡い想い。思春期の入口に立つ少年は自分でもどうしたいのかわからない。自分の気持ちに戸惑う様子が丁寧に描かれている。『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』『隠された時間』に通じるところがありかもしれない。少年の想いは背景となっている緑豊かな自然の美しさと相まって、ノスタルジックな気持ちをもたらしてくれる。
『草原に黄色い花を見つける』
2017年8月19日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督:ヴィクター・ヴー
出演:ティン・ヴィン、チョン・カン、タイン・ミー、マイ・テー・ヒエップ
配給:アルゴ・ピクチャーズ
©2015 Galaxy Media and Entertainment. All rights reserved.
公式サイト:http://yellow-flowers.jp/
『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』
「山王連合会」「White Rascals」「鬼邪高校」「RUDE BOYS」「達磨一家」という5つのチームが拮抗するエリアは、それぞれの頭文字をとってSWORD地区と呼ばれていた。5つのチームはバラバラだったが、力を合わせることで湾岸連合軍との戦いに辛くも勝利。SWORD地区は束の間の平和を取り戻していた。そこに新たな集団が突如現れ、恐怖によるSWORD支配を目論む。さらに権力と癒着してカジノ建設の野望を持つ反社会組織「九龍グループ」と、その陰謀を暴こうとする者との激闘も絡み、 SWORD地区はかつてない事態へと突入する。
YABO人:コブラ(岩田剛典)
山王連合会総長。かつては伝説のチーム「ムゲン」のメンバーだった。外見はクールだが仲間思いで、その魂は誰よりも熱い。尊敬する人はアントニオ猪木。SWORD地区を狙うあらゆる勢力から街を守るためにSWORDの各チームに協定を提案。ある事情を抱えたWhite RascalsのROCKYに拒絶されるが、諦めずに次の一手を模索する。YABO人:村山良樹(山田裕貴)
群雄割拠の鬼邪高校を統一した不死身の番長。所属は定時制。華奢な外見からは想像がつかないタフさを誇り、殴られてもゾンビのように復活する。不良たちに100発殴られる荒行を耐え抜いた。かつては他人の痛みを想像できなかったが、コブラとのタイマンを通じて成長。「SWORD協定」実現のため、達磨一家に単身乗り込んでいく。
「HiGH&LOW 」は世界初の総合エンタテインメント・プロジェクト。2015年10月に放映されたドラマをスタートに映画、動画配信、コミック、SNS、LIVEまであらゆるメディアを自在に融合させている。前作の「全員主役」をさらに進めて、映画第3弾の本作は100名を超える超豪華なキャストで「超全員主役」を実現した。
あまりにたくさんの登場人物がいるので、初めから全部を理解しようとするのは大変。演じる俳優で事前に押しキャラ(チーム)を決め、キャラ(チーム)を中心に関係性を理解してストーリーを追っていくとわかりやすい。そのうえで、圧倒的な迫力のアクションシーンを堪能してほしい。
『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY』
8月19日全国公開
監督:久保茂昭
出演:
【山王連合会】 岩田剛典・鈴木伸之・町田啓太・山下健二郎・佐藤寛太・佐藤大樹・八木将康・岩谷翔吾・山本彰吾
【White Rascals】 黒木啓司・遠藤雄弥・稲葉友・栁俊太郎・廣瀬智紀・松田凌・西川俊介・西村一輝/喜矢武豊・樽美酒研二
【鬼邪高校】 山田裕貴・鈴木貴之・一ノ瀬ワタル・青木健・清原翔・陳内将
【RUDE BOYS】 窪田正孝・佐野玲於・ZEN・佐野岳 藤井夏恋・鈴木梨央
【達磨一家】 林遣都・阿部亮平・小澤雄太・水野勝・田中俊介・守屋光治・井澤勇貴
【苺美瑠狂】楓・佐藤晴美・山口乃々華・城戸愛莉 藤井萩花・坂東希
【DOUBT】 中村蒼・秋山真太郎・武田航平
【MIGHTY WARRIORS】 ELLY・大屋夏南・野替愁平・白濱亜嵐・ANARCHY・LIKIYA・祐真キキ
【プリズンギャング】 NAOTO・関口メンディ―・岩永ジョーイ・武尊・城戸康裕・JAY・中谷太郎
【雨宮兄弟】 TAKAHIRO・登坂広臣
【ムゲン】 AKIRA・青柳翔
【九龍グループ・幹部】橘ケンチ・小林直己・尚玄・小野塚勇人・渡邉紘平・武田幸三・夕輝壽太・白石朋也・荒木秀行・黒石高大 池上幸平・中井ノエミ 長谷川初範・堀部圭亮 /豊原功補
【九龍グループ・会長】岩城滉一・岸谷五朗・加藤雅也・笹野高史・髙嶋政宏・木下ほうか・中村達也・早乙女太一 /津川雅彦
配給:松竹
©2017「HiGH&LOW」製作委員会
公式サイト:http://high-low.jp/movies/endofsky/
『ベイビー・ドライバー』
YABO人:天才的なドライビング・センスを持つベイビー(アンセル・エルゴート)
子どもの頃の交通事故が原因で耳鳴りに悩まされ続けている。ただし音楽を聴くことで、耳鳴りがかき消され、そのドライビング・テクニックがさらに覚醒する。犯罪組織のボスの車を盗んでしまったことから、組織の運転手として銀行や現金輸送車を襲ったメンバーを確実に「逃がす」仕事をさせられている。仕事のたびに音楽に合わせて逃走ルートを計画。選び抜かれた曲のビートがiPadから耳に入ると絶妙なタイミングでのヘアピンターンやギアチェンジに転換され、同乗者は唯一無二のドライブを体験する。しかし、デボラ(リリー・ジェームズ)と出会い、この仕事から抜け出す決意。最後の仕事のつもりで引き受けた合衆国郵便局の襲撃が暴走をし始める。
作品全編を通じて、ベイビーがipod聞いている音楽に映像がぴたりとはまっている。まるでミュージックビデオを見ているよう。それはベイビーのドライビングだけではない。仕事を終え、ベイビーがコーヒーを買ってアジトまで歩いていくシーンもベイビーの動きと音楽だけでなく、街の風景までがすべてタイミングが図られて撮影されている。歌わないミュージカル映画といえるかもしれない。
しかも音楽とカーアクションの映画に終わっていない。ベイビーはこれまでの自分にしっかり向き合った上で、逃げない未来を選択する。清々しいラストに、この作品を観てよかったという気持ちになるに違いない。
『ベイビー・ドライバー』
8 月 19 日(土)新宿バルト9 他全国ロードショー
監督・脚本:エドガー・ライト
出演:アンセル・エルゴート、ケヴィン・スペイシー、リリー・ジェイムズ、 エイザ・ゴンザレス、ジョン・ハム、ジェイミー・フォックス
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式サイト:http://www.babydriver.jp/